オンラインでパントマイムの先生をするという経験を生まれて初めてしました。
保護者の方に承諾を得て、少し書き留めておきたいと思います。
教えたのは、なんと!南アフリカのインターナショナルスクールに通う日本人の小学生。学校のコンテストに挑戦するということで、指導者を求めていたお母さんがネット上で、私を探し出してくれて実現。
オンラインでどうやってやるか、配信をやっている人に聞いたりして、パソコンとスマホ2台を繋いで、計四回のレッスン!。
彼の下校後の時間は、こちらの夜中!こちらは寒い冬、あちらは半袖でアイス。こんなことができる時代なんだなーと、新鮮でこちらにも刺激の多い挑戦でした。
「教える」とはなにか。
今回の経験を通して、2つのことについて書きたいと思います。
①その人から生まれる表現をベースにする。
②テクニックはほどほどに。
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①その人から生まれる表現をベースにする
お母さんと私のやり取りで最初に考えていたのは、やはり壁や固定のようなテクニックを教えること。でも、一回目のレッスンの時に彼が見せてくれた作品にはすでに冒険のストーリーがあって、下手に教えたら彼の世界が壊れてしまうな。と感じました。だから、こんな風に進めました。
「壁にぶつかったのはなんでだろう?」
ー暗いから!
「暗いのはどこだろう?」
ー洞窟!
「さっきのハンマーはどんな重さだった?」
ー持ち上げるのが大変なくらい重い。
そんなやり取りの中で、一つずつの動きを作っていったり、前に進んでいってしまうと舞台から落ちちゃうので、その場で歩いてみよう。とか、斜めにつかってみようとか、問いかけを大事に。
そうしてできた彼のお話は、「冒険」洞窟の中で壁にぶつかって、その壁をハンマーで壊し、それでもまだ壁!それも小さなハンマーで壊し壁の間をすり抜けて、橋を渡り、城の門に行き着き、門をあけると宝箱があり、彼はたくさんの指輪を出して、指にはめる。いう壮大な話。
いや、時間の都合で省くことになったのだけど、最初は帰り道もあって、袋の中に入れたたくさんの宝物を落としそうになりながら、壁の穴にひっかかりながら帰っていくお話まで生まれました。これは、全部、本人の中から生まれた素敵なお話。もう最初から彼は素晴らしかった。
②テクニックはほどほどに。
ちょっぴり加減が難しい話。パントマイムにはテクニックがあります。その場で歩く方法も、壁が見えたり、重さを見せたりする方法がある。でも、短い時間でパントマイムという表現を楽しんで演じるには、そのテクニックを伝えるのは控えなければいけないように感じました。「重い」とか「高い」とか「前に進んでいる」とか、そういうことは、本人が心で感じると不思議と演技が変わる。見えてくる。逆に堪えられなくて、こうやると歩いて見えるよ。とか歩き方を見せてしまったときは、私の歩き方のマネになってしまって、途端に彼の世界がぼやけてしまった。テクニックを伝えることが大事な訳では無いって気づいた瞬間でした。
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小さな4回のレッスンで学んだことは私にとって大きいものでした。
私がやりたいことはパントマイムという表現方法を使って、それぞれの世界を表現してもらうこと。なのだな。と気が付きました。
きっと子どもも大人もみんな心に物語を持っている。それを大事に他の人に伝わるようにするにはどうしたらいいんだろう。てことを考える方法で教えられたらどんなに素晴らしいんだろう。また、挑戦したいです!願わくはリアルで!